出生前診断のこと

染色体異常とは?主な3つの症状と流産、遺伝の関係など

妊婦さんや出産経験者なら必ず耳にしたことがある「染色体異常」のフレーズ。

あまりポジティブなワードではありませんが、我が子の出生に関係したことですので、興味を持つ方も多いことでしょう。

「染色体異常」の説明は、インターネットや育児本の中で取り上げられることも多いため、情報は確かに豊富にあります。

ですが、中には染色体異常と流産の関連性や遺伝が関係しているなど、真実ではない情報を鵜呑みにしてしまう方も見受けられます。

この情報は、我が子の成長を切に願う親御さんが正確に知っておくべきことですので、正しい知識を取り入れることをおすすめします。

ではここから、染色体異常の種類や症状、また流産の可能性や遺伝との関連性について解説していきたいと思います。

是非、参考にしてみてください。

染色体異常とは?

染色体異常とは、人間の体内にある染色体の構造の変化、染色体数の増減などによって現れる変異のことを指します。

このような染色体異常はよく見られるもので、様々な先天奇形や発育異常、ダウン症候群などの疾患を引き起こす原因となることが多いようです。

大半は出生前から分かるものではないため、偶然行われた遺伝子検査で判明することが多いですが、最近では妊婦自らが望む出生前診断で事前に発見できる率も上がってきています。

参照:染色体異常とは 日本産婦人科医会より

染色体異常の原因

染色体異常が起きてしまう原因にはいろんな要素が関係していると言われていますが、幾つかの代表的な原因として、両親の遺伝的因子、環境因子(葉酸不足や、一部の薬物摂取・飲酒・喫煙・母体糖尿病)などが挙げられます。

また、母体のウイルス感染に伴う場合にも考えられますが、大抵は原因を突き止めることはできません。

染色体異常は精子や卵子を作る過程で起こり得るものですが、女性の加齢度合に比例して、そのリスクは上がっていくと言われています。(一方、男性は年齢に関係ない場合が多い)

ですから、高齢妊娠、出産の女性は染色体異常の胎児を妊娠する頻度が高くなりますので、これも原因の一つとして挙げられています。

染色体異常とされる病気の種類と症状

染色体異常の症例には幾つもの種類があり、すべて異なった性質や症状が見られますが、主に可能性が高いと言われる3つの染色体異常の種類をご紹介します。

13トリソミー

13トリソミーは、13番染色体の過剰反応によって引き起こされる症例で、前脳や眼の発育異常、重度の知的障害、心臓の異常、出生時低身長が特徴です。

13トリソミーは出生約10,000人に1例の頻度で発生しているもので、珍しいものではありません。

在胎期間に対して体格が小さい傾向があり、約80%の症例で重度の先天性心血管異常を合併しています。

その他にも生殖器の異常が多く見られ、男児であれば停留精巣と陰嚢異常、女児であれば双角子宮のリスクが高いようです。

流産の可能性は高くはないですが、無事に生まれてきても多くの障害や疾患を抱えることが多く、寿命は長い方ではない可能性もあります。

18トリソミー

18トリソミーは、18番染色体の過剰反応によって引き起こされる症例で、知的障害や低身長、重度の小頭症、心奇形,後頭部突出,特徴的顔貌などの先天奇形が特徴です。

18トリソミーは出生約6,000人に1例の頻度で発生していますが、無事に生まれてくる可能性は低めで、自然流産となるパターンがよく見られます。

母体年齢が高くなるにつれて18トリソミーのリスクは増すと言われており、実際に40歳を超えた母親の妊娠・出産での症例は格段に多いことが分かっています。

21トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミーは、21番染色体の過剰反応によって引き起こされる症例で、重度の知的障害、小頭症、低身長、特徴的顔貌が特徴です。

一般的にダウン症候群と呼ばれ、世の中でも認知度が高い染色体異常の分野です。21トリソミーは出生約700人に1例に頻度で発生しており、決して珍しいものではありません。

基本的に母体年齢が上がるにつれてリスクが増大することがわかっており、母体年齢別のリスクは,20歳で2,000分の1、35歳で365分の1、40歳で100分の1となり、とても現実的な数字になってきます。

参照:ダウン症候群(21トリソミー) MSDマニュアル家庭版より

染色体異常と流産の関係

流産を経験するということは、ご両親にとっても、出産を楽しみにしていたご家族にとってもとても辛いことです。

妊婦さんの中には、流産したことで自分を責める方も少なくなく、「何がいけなかったのだろうか」と思い悩む方も少なくありません。

流産してしまう理由には幾つもの要素が考えられますが、物理的な要素(お母さんが転倒する、おなかに強い衝撃が生じる事例、母親の体調不良)以外であれば、ほとんどの流産には染色体の異常が関係していると言われています。

実際、流産の6割ほどに何らかの「染色体異常」が見つかり、流産の原因であることがわかっているのです。

染色体異常を持った受精卵の多くは、発生や生育に障害を発生し、胎児が育つことができなくなり流産になると思われます。

この染色体異常は、母親が自分でどうにかできるものではなく、コントロールすることは不可能なのですから、流産したことで自分自身を責める必要はないのです。

染色体異常は遺伝するの?

染色体異常は遺伝的な要素が関係していると考えておられる方が多いようですが、実際調査の結果では、染色体異常の多くは遺伝しないことがわかっています。

特に、染色体数の異常は遺伝することは稀です。

ただ構造異常の場合は、両親のどちらかが染色体の構造異常を保因している可能性が高く、その場合は遺伝することがあります。

とはいえすべてがそのパターンではないので、家族に染色体異常の症例の人がいたとしても、必ずしも生まれてくる子供が同じ症例を保因しているとは限りません。

参照:染色体異常は遺伝するのでしょうか。 日本小児神経学会より

染色体異常の検査・診断方法

自分の子供が染色体異常かどうか確かめたいとき、生まれてくる前に事前に知る方法があります。

ここからは、検査の方法や診断の確定過程について解説していきます。

染色体異常の検査には出生前診断がある

染色体異常かどうか確かめる初めのステップは、出生前診断です。

この検査は、胎児が生まれつき内臓の形の異常や染色体異常(先天異常)をもっていないかなどを、お母さんのおなかの中にいる間に調べることが検査です。

最近では、産婦人科はもちろん、大きな大学病院でも対応できるところが増えており、昔よりも気軽に受けることが可能なってきました。

出生前診断の検査方法にはいくつかパターンがありますが、これはあくまでも夫婦でよく話し合ってから受検するべきものです。

決して堕胎することを決定するために受けるものではありません。

出生前診断は非確定検査と確定検査に分かれる

出生前診断には、大きく分けて2つの検査があります。

1つはその病気が存在しているかの確率を調べる「非確定的検査」、そしてもう1つはその診断を確定させる「確定検査」です。

初めから確定検査を受けることはほぼなく、まず非確定検査を受けて気になる点が見つかった場合だけ、確定検査に進みます。

非確定検査とは?

通常の定期健診で医師がエコー検査を行い、異常が認められた場合に非確定検査が勧められます。

この非確定的検査には、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)、胎児の後頚部浮腫を測定するNuchal translucency (NT) 検査、コンバインド検査があります。

それぞれ検査可能な周期や条件が異なりますので、担当の医師と相談のうえ決めていきます。

確定検査とは?

非確定検査で陽性の判断が出た場合、診断を確実にするために確定検査を受けることを医師から勧められます。

確定検査には絨毛検査、もしくは羊水検査があります。

非確定的検査に比べて確定検査は、母体に多少のリスクもありますので、非確定検査の確率が高かった方のみの検査になります。

出生前診断の詳細は下記記事をご覧ください。

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NIPTでわかる染色体異常とは?

NIPT(新型出生前診断)では、様々な染色体異常(染色体疾患)を調べることができます。

一般的によく知られている、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)は比較的見つけやすいようです。

またクアトロテストでは、神経管閉鎖不全症なども発見することができますし、確定検査を受ければ特に珍しい症例でない限りは、染色体疾患全般をチェックできます。

とはいえ、胎児や母体の研究にはまだまだ未知のものが多く、出生前診断ですべての先天性疾患を調べることができるとは言い切れません。

NIPT(新型出生前診断)の詳細は下記記事をご覧ください。

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